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麻酔
通常、パーキンソン病に対する手術では、術中に症状の改善を確認する必要があります。このため、局所麻酔で覚醒下に手術を行うことが一般的です。通常、手術中の痛みはこの方法で完全に抑えられますが、患者の状態によっては、適宜、鎮静剤の静脈内注射を行い、不安や苦痛を少なくします。
手術前の準備
内服薬は手術の12時間前に服用を中止します。パーキンソン病の手術では、正確にターゲットとなる神経核の位置を同定しなければなりません。このため、手術を開始する前に頭部に座標軸となる金属のフレームを固定し(レクセルフレーム)、MRIを施行します。こうして、ターゲットとなる神経核の位置を、座標として正確に把握することが可能となります(図5-1、図5-2、図5-3参照)。
図5-3 定位脳手術装置
手術当日
この手術では、局所麻酔下に直径が丁度、1円硬貨ぐらいの穴を頭蓋骨に開け、そこから記録電極を挿入します。記録電極を進めながら脳深部の脳波を確認することで、電極の先端がターゲットとなる神経核に到達したかどうかがわかります。レントゲン写真で電極の位置を確認した後に、今度は挿入した記録電極から電気を流し、電気刺激で患者の症状が改善するかどうか、手術中に確認します。これで、症状の改善が確認されれた場合は、その部分に埋め込み用の電極を留置します(図6-1、図6-2 参照)。留置した電極は移動しない様に、頭蓋骨表面に固定して手術を終了します。この頭部に埋め込んだ電極は、後日、全身麻酔下に前胸部に電池(implantable pulse generator)を埋め込んで、これと皮下で接続します。こうして、持続的に神経核を刺激することで、症状の改善が得られるようになります。
脳内に埋め込んだ電極は基本的には、生涯そのまま埋め込んでおくことができ、前胸部の電池と脳内の電極をつなぐリード線も皮下に存在していますので、通常、ほとんど目立ちません。前胸部に埋め込んだ電池は、外見上、電池の存在部位に一致して若干の皮膚の盛り上がりが認められます(図7)。この電池に関しては、通常、3年から5年に一度は交換が必要で、その度に30分程度の局所麻酔下での手術が必要です。