パーキンソン病DBS療法 入院から手術、退院までの実際の経過

L-ドパ製剤を中心としたパーキンソン病の治療では、長期間の薬剤投与により、症状の日内変動(wearing-off現象、on-and-off現象)や不随意運動などの新たな症状が誘発されるようになります。また、パーキンソン病自体が、長い間に薬剤抵抗性となっていることもあります。こうした、長期的な薬物治療の後に発生した症状を改善させるのが、外科治療の役割と言えるでしょう。パーキンソン病に対する外科治療の適応と禁忌について、要約すると以下のようになります。

1. 手術の適応に関する検査入院

  • まず、神経内科病棟に入院していただき、Parkinson病に対する薬物治療の再検討と手術の適応を検討するための検査を行います。この入院で行われる検査は、個々の患者における最適な治療法の検討と、手術による症状の改善度・副作用を予想するのに必要です。検査結果を元に、手術を安全に行うことができると判断した場合には、神経内科の担当医と脳神経外科の専門医が相談します。
  • 手術の適応とターゲット、術式が決定され、患者に説明がなされます。
  • 手術に関する承諾が得られた段階で、手術日が決定されます。

2.DBS手術のための入院

  • 神経内科にて、術前評価を行う。 患者は、術当日に薬剤をoffにした状態で手術にのぞむ必要があるため、悪性症候群等に注意しつつ、薬剤をtapering offとする。
  • 手術当日 脳神経外科と神経内科が合同で行う。
    • 術中の筋電図、他動的運動については、神経内科担当医に施行してもらう。
    • Recordingや最終的なtargetの決定は神経内科医と脳神経外科医が合同で行う。
    • 術後、数日中に全身麻酔下にて、刺激装置の全胸部皮下への挿入を行う。
  • 術後は、CTを施行して出血などが無い事を確認した後に、HCUに入室。翌日に再度、CTを施行し、問題無ければ、脳外科病棟に転棟して一週間で抜糸。その後、神経内科病棟に転棟、入院を継続し、神経内科にて術後評価を行う。
  • 神経内科と脳神経外科が合同で定位脳手術の結果に関し、評価・検討を行う。
  • 内服薬の調整を行い、創部の異常や感染が無い事を確認の上、退院。