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パーキンソン病とは
パーキンソン病は、安静時振戦(安静時の手の振るえ)、筋固縮(筋肉のこわばり)、無動、動作緩慢(円滑な動作の障害)、姿勢反射障害(バランスが取りにくい、転びやすい)などの運動障害を主な症状とする疾患です。1817年にイギリスのJames Parkinson医師によって“Essay of shaking palsy(振戦麻痺に関する論文)”という論文の中ではじめて記載されました。その後に、フランスの神経内科医Charcotらによってこの病気は、彼の名にちなんでパーキンソン病と名づけられました。病気の発症は中年以降に多く、年齢に伴い患者数が増加します。一般的な有病率は人口10万人あたり100人〜150人といわれています。
パーキンソン病の原因は?
パーキンソン病の患者の病理組織では、脳内の中脳黒質におけるドパミン産生細胞が変性、脱落しています。ドパミンは脳内における神経伝達物質であり、中脳黒質から大脳の線条体という部分に運ばれ、ここで主に、動作を円滑に行うための運動の制御や運動を行うための動機を起こす働きなどの機能に関与しています。パーキンソン病患者では、発症時に既に中脳黒質のドパミン産生細胞の80%程度が脱落しています。
パーキンソン病において、この中脳黒質細胞が脱落する機序については、依然として様々な説があり、解明されていません。稀に家族性に発症し、その遺伝子が特定される場合もありますが、パーキンソン病患者のほとんどは孤発性であり、遺伝性を示しません。
疫学上では、発症の危険因子として農薬・殺虫剤の暴露、金属(鉛,銅,鉄,マンガン)を扱う職業歴などの環境因子が指摘されていることから、これらによる黒質神経細胞のミトコンドリア機能障害による細胞死が示唆されています。
又、パーキンソン病の患者の黒質細胞では、レヴィー小体(Lewy body)といわれる好酸性の蛋白質の固まりを認めており、異常蛋白質の細胞内蓄積を認めることから、これらを構成するαシヌクレイン(α−synuclein)の過剰蓄積やこれらを分解する細胞内機構の障害が、ドパミン産生細胞脱落の原因として指摘されています。
パーキンソン病の病因については、現在でも、これを解明すべく世界中で様々な研究が進行中です。