パーキンソン病の診断と鑑別すべき疾患

厚生省特定疾患神経変性疾患調査研究班によるパーキンソン病診断基準を以下に示します。

自覚症状 (ア) 安静時のふるえ
(四肢または顎に目立つ)
(イ) 動作がのろく拙劣
(ウ) 歩行がのろく拙劣
神経所見 (ア) 毎秒4〜6回の安静時振戦
(イ) 無動・寡動:仮面様顔貌、低く単調な話し声、動作の緩徐・拙劣、臥位からの立ち上がり動作など姿勢変換の拙劣
(ウ) 歯車現象を伴う筋固縮
(エ) 姿勢・歩行障害:前傾姿勢、歩行時に手のふりが欠如、突進現象、小刻み歩行、立ち直り反射障害
臨床検査所見 (ア) 一般検査に特異的な異常はない
(イ) 脳画像(CT,MRI)に明らかな異常はない
鑑別診断 (ア) 脳血管障害性のもの
(イ) 薬物性のもの
(ウ) その他の脳変性疾患
診断の判定 次の@〜Dのすべてを満たすものを、パーキンソン病と診断する
@ 経過は進行性である
A 自覚症状で、上記のいずれか1つ以上がみられる
B 神経所見で、上記のいずれか1つ以上がみられる
C 抗パーキンソン病薬による治療で、自覚症状、神経所見に明らかな改善がみられる
D 鑑別診断で、上記のいずれでもない
参考事項 診断上、次の事項が参考となる
@ パーキンソン病では神経症候に左右差を認めることが多い
A 深部反射の著しい亢進、バビンスキー徴候陽性、初期からの高度の痴呆、急激な発症はパーキンソン病らしくない所見である
B 脳画像所見で、著明な脳室拡大、著明な大脳萎縮、著明な脳幹萎縮、広範な白質病変などはパーキンソン病に否定的な所見である

以上の診断基準を要約すると、パーキンソン病の診断とは、その症状が最も重要であり、ドパミン製剤などの抗パーキンソン病薬に対する反応性をみることや鑑別疾患を否定することで確定するといえるでしょう。