ホルモンを過剰産生する腫瘍の特徴的症状

機能性腺腫には、主なものに成長ホルモン産生腫瘍、副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍、プロラクチン産生腫瘍の3つがあります。

成長ホルモン産生下垂体腺腫

下垂体腺腫から成長ホルモンが血中に過剰に分泌されると、成人では顎やひたいの辺りの骨が膨らみ、頬骨が目立ち、鼻や舌、唇が大きくなるなどの変化が現れます。また、この他に手足の指先が大きくなるといった症状も見られます。末端肥大症(アクロメガリー、acromegaly)と呼ばれ、成長ホルモン産生腫瘍に特有の症状です。成長期以前の若年者では、末端肥大症とともに異常に伸長が高くなり、下垂体性巨人症(giantism)といった症状を呈したりもします。しかしながら、成長ホルモン産生腫瘍の症状は外見的なものばかりではありません。成長ホルモンには、血圧や血糖を高める作用があるため、高血圧や糖尿病を合併することがしばしばあります。これ以外にも心臓や腎臓、肝臓、脾臓などの内臓が大きくなり機能が滞る場合もみられます。

症状の特徴

  • 著しく身長が伸びる(巨人症)
  • 下顎・眼窩上縁・頬骨の突出、鼻、舌、口唇、手足、指趾の肥大(末端肥大症)
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 心・腎・肝・脾などの内臓腫大
  • 四肢の筋力低下・知覚異常
  • 骨の肥大による関節障害
  • 皮膚からの発汗の亢進
  • 頭痛
  • 視力障害・視野狭窄
  • 女性では月経異常、男性では性欲低下

経過と予後

適切な治療を行わなかった場合、徐々にこれらの症状は進行していきます。初期には四肢末端の増大、骨格の変化、体重増加、身長の増加、女性では月経異常などがみられます。次いで次第に腫瘍の増大進展により、圧迫症状としての頭痛、視力・視野障害などが出現し、さらに長期間この状態が持続すると心肥大や薬剤での治療が難しい糖尿病を合併します。高血圧や糖尿病が長期間放置されると、全身の動脈硬化が進行し、冠動脈硬化からの心臓発作により致命的となる場合もあります。

治療の目的

1)腫瘍から過剰に産生されるホルモン値を正常レベルまで改善し、それによって引き起こされる様々な全身症状を回復させる。

2)腫瘍の増大によって引き起こされた視神経や正常下垂体に対する圧迫症状の改善