ホルモンを過剰産生する腫瘍の特徴的症状

機能性腺腫には、主なものに成長ホルモン産生腫瘍、副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍、プロラクチン産生腫瘍の3つがあります。ここでは、副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍について説明します。

副腎皮質ホルモン産生下垂体腺腫(Cushing病)

副腎皮質から分泌されるコルチゾール(cortisol)の慢性的な過剰により起こる病態を総称してCushing症候群(Cushing's syndrome)と呼び、その中でも下垂体腺腫からのACTHの過剰分泌によって起こるものをCushing病と分類します。Cushing病では、顔や体に脂肪の蓄積を認め、全体に丸みを帯びた体つきとなります。また、ACTHの過剰産生によって分泌されたcortisolにも血圧を上昇さえる作用があるため、患者は薬剤でコントロールが難しい高血圧を呈します。

症状の特徴

  • 満月様顔貌(moon face)、中心性肥満(central obesity)、水牛様脂肪沈着(buffalo hump)
  • 高血圧
  • 月経異常
  • 皮膚線条(striae cutis)
  • 色素沈着
  • 多毛

経過と予後

Cushing病では、治療せずに放置した場合の5年生存率は60%(発病から5年間で未治療の患者の4割が命を落とす)と生命予後は非常に悪いです。これは、副腎皮質からのステロイドホルモンの過剰産生による免疫力の低下、ならびに薬剤抵抗性の高血圧の持続により、感染症の悪化や脳・心臓の血管障害を併発する場合が多いからです。

治療の目的

Cushing病では、一般に腫瘍が小さいことが多く、このため、腫瘍から過剰に産生されるホルモン値を正常レベルまで改善し、それによって引き起こされる様々な全身症状を回復させることが治療の中心となります。