ホルモンを産生しない腫瘍の特徴的症状

下垂体腺腫は、体の機能を調節する様々なホルモンを産生する部分に発生するため、腫瘍が大きくなるにつれて正常下垂体組織を圧迫し、易疲労感や体調不良など下垂体機能低下による様々な症状を呈します。又、下垂体のすぐ近くには視神経が存在しているため、腫瘍の増大に伴い、これらが圧迫され、視力の悪化や視野狭窄を認めます。非機能性下垂体腺腫は、そのほとんどが非常にゆっくりと増大するか、中には数年の経過でほとんど大きくならないものもあります。脳腫瘍の中でも非常に良性の腫瘍といえるでしょう。したがって、腫瘍が見つかっても、症状が見られない場合には、経過観察する場合も多く治療の適応には充分な検討が必要となります。

症状の特徴

  • 視力や視野の悪化
  • 易疲労感、体調不良、精力減退
  • 女性では月経異常、男性では性欲低下

経過と予後

非機能性の下垂体腺腫では、腫瘍の増大に伴い、周辺の正常組織を圧迫することで症状を呈します。ホルモンを過剰産生するホルモン産生腫瘍と異なり、患者様の全身状態への悪影響は比較的少なく、腫瘍自体が生命を左右する因子となることは比較的稀です。

治療の目的

腫瘍の増大によって引き起こされた視神経や正常下垂体に対する圧迫症状の改善となります。