高度イメージガイド下放射線治療装置での放射線治療

近年、脳腫瘍に対するCT・MRI等の診断技術の進歩に伴い、放射線治療においても、必要な範囲により高い放射線量を照射する事が可能となりつつあります。

術後の残存腫瘍の治療には、従来、分割照射による放射線療法(conventional radiation therapy)が広く施行されてきています。この治療法では、長期的な経過観察に基づいた報告がいくつかなされており、その有効性については既に確立されています。腫瘍の増殖を抑制する効果については、80%から95%といった高い制御率が達成されます。その上、機能性腺腫においても、70%から90%の患者でホルモン産生過剰が是正されており、内分泌機能に対する治療効果としても非常に有効です。

しかしながら、20%から30%と高い確立で正常下垂体機能の低下を合併することも報告されています。又、視神経の障害による視力低下の危険性についても数%ながら報告があり、さらに、機能性腺腫において過剰ホルモン産生能を治癒させるまでに5年以上の長期間を要する事が多く、治癒が達成されるまでの間に病状が悪化する場合も少なくありません。分割照射による下垂体腺腫の治療は、長期的にみて非常に高い有効性を有しているが、これらいくつかの問題を依然として有しています。

東京大学医学部附属病院脳神経外科では、ガンマナイフと並び、撮像機能を備えた高度イメージガイド下放射線治療装置シナジーを装備しています。シナジーでは、治療する位置で患者の画像を撮影することができ、その画像データーを元に、即座に患者の位置を微調整し、治療を行うことができます。シナジーでは、治療部位の位置決め精度が3軸方向に対して0.1mm以下であるため、高精度での照射が可能であり、手術やガンマナイフでの治療が困難な下垂体腺腫のより安全かつ正確な放射線治療を実現しています。

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