水頭症とは何なのか?
脳は外からの衝撃を軽減するために、水(髄液)の中に浮かんだ状態で頭蓋骨の中におさまっています。髄液は毎日500ccほど作られ、また500ccほど吸収されることでバランスを保っています。何かの拍子に髄液を排出する力が低下してしまうと、水の通り道であるお部屋(脳室)に水が溜まってしまいます。脳室に水がたまって大きくふくらんでいる状態を「水頭症」と呼びます。
水頭症の原因
水がたまってしまう原因にもいくつかありますが、脳腫瘍などによって通り道がふさがれてしまう場合や、くも膜下出血・髄膜炎などを起こすことで水の吸収能力が落ちてしまう場合などがあります。
また、特発性正常圧水頭症は、原因はわかっておらず、主に高齢者に起こる水頭症です。65歳以上の人の1~2%にこの病気があると考えられていますが、認知症などと間違えられやすく見逃されがちです。
水頭症の症状
高齢者に多い水頭症では、歩けなくなる、ぼーっとする、おしっこを漏らすという3つの症状が典型的ですが、3つともすべてそろうことはそれほど多くありません。その中でも歩けなくなるという症状が最も起きやすいです。左右の足の幅が広がる、すり足になる、歩幅が狭くなるといったことがあれば、一度頭の検査をしてみることをおすすめします。
水頭症は治療できる!
まずは、腰から髄液を30ccほど抜くことで、実際に症状が良くなるか検査を行います。
もし症状が良くなる場合には、「シャント」というプラスチック製の管を、脳室あるいは腰からお腹の中まで通してあげることで、余分にたまった水を流してあげます(シャント手術)。どこに管を作るかによって、脳室腹腔シャント、腰椎腹腔シャントなどのいくつかの手術方法があります。脳室腹腔シャントの場合には頭蓋骨に穴をあける穿頭術を行い、脳室の中に管を入れます。手術時間は1~2時間程度です。
手術後の経過は?
問題なければ1週間ほどで抜糸して退院できます。シャントは体にとっては異物であるため、バイ菌に感染してしまったり、チューブが詰まってしまったりと色々なトラブルが起きることがあります。定期的に病院に通い、主治医にしっかり診てもらいましょう。
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