ノープロブレム!ドットジェイピーとは

現在、以下の脳疾患の医療情報サイトが開設されています。

ノープロブレム!ドットジェイピー 代表 プロフィール

近年、脳神経医科領域では顕微鏡手術や医療技術の発展が目覚ましく、様々な疾患で、安全かつ確実な治療が確立されつつあります。しかしながら、依然として治療が困難な疾患も多く存在しており、手術や治療に際しては患者様が著しい負担を強いられる場合も数多く存在しているように思われます。

私は、現在、東京大学脳神経外科にて、最先端医療機器や神経内視鏡などの新しい技術を応用して、少しでも患者様の負担を軽減し、かつ、これまで以上に有効な治療の開発に取り組んでいます。

疾患・治療に関するご相談について

疾患・治療に関するご相談につきましては、東京大学病院の、私の外来を受診してください。

その際、過去におとりになられた画像(MRI・CTなど)や検査結果、現在かかりつけの医師からの紹介状などがありますと、病状の判断に大変役立ちますので、お持ちください。

一人一人の患者様をしっかりと診察させていただくために、私の外来は、完全予約制とさせていただいております。

お手数ですが、東京大学病院の外来予約センターに電話をして、「脳神経外科の辛の外来」と指定の上、予約をお取りください。

月曜日と金曜日の午後に外来を行っております。学会出張などの都合により、不在のこともありますので、ご了承ください。

  • 東京大学附属病院予約センター

脳神経外科領域の専門分野

  • パーキンソン病や手の振えなどの不随意運動疾患の外科治療
  • 下垂体腫瘍に対する神経内視鏡を用いた低侵襲手術
  • 脳室内腫瘍に対する神経内視鏡を用いた低侵襲手術
  • 小児脳神経外科領域、とくに水頭症に対する神経内視鏡手術
  • ガンマナイフなど定位放射線外科手術
  • 下肢の痙縮や疼痛に対する外科治療
  • 顔面痙攣や痙性斜頚に対するボツリヌス毒素を用いた治療

プロフィール

平成6年3月
東京大学医学部 卒業

その後、東京大学医学部附属病院 脳神経外科に所属し、東京警察病院、亀田総合病院、寺岡記念病院、東京都立神経病院の脳神経外科に勤務し脳神経外科医としてのトレーニングを受ける。

平成10年4月
東京大学医学部付属病院にてガンマナイフ治療責任者と神経内視鏡手術を担当

ガンマナイフによる脳動静脈奇形や脳腫瘍の治療に従事するとともに、全国に先駆け、神経内視鏡を用いた下垂体腺腫や水頭症に対する低侵襲治療を開始する。同時に、神経内視鏡手術の技術向上を目指して、新たな手術器具の開発にも従事する。
この間、米国、ピッツバーグ大学Jho教授やドイツ、マインツ大学、Perneczky教授をはじめとした、欧米の神経内視鏡手術の専門医の元を訪れ、神経内視鏡手術の方法について、技術指導を受けつつ、意見交換を行う。

平成15年9月
フランス パリ大学附属アンリモンドール病院 脳神経外科に勤務するとともに、フランス政府原子力開発研究所の医学研究部門にも所属。

Jean-Paul Nguyen教授、Stephan Palfi医師とともに、パーキンソン病や振戦、神経因性疼痛の外科治療に従事。

また、Phillipe Decq医師のもと、下垂体腫瘍や水頭症、脳室内腫瘍に対する神経内視鏡手術にも従事。年間1000例以上の手術件数を有する本施設において、実際に術者として多くの手術を経験する。

フランス政府原子力開発研究所にも所属し、パーキンソン病に対する遺伝子治療や新たな治療法の開発研究にも従事する。この間、多くの患者の治療に携わりながら、同国の機能的脳神経外科及び不随意運動疾患についての専門医試験を受験し、認定を受ける。

平成18年10月
東京都立神経病院 脳神経外科に勤務

帰国後は、これまでに学んだ医療技術の経験をもとに、日本での医療に貢献すべく、不随意運動疾患、脊髄疾患、小児神経疾患を専門とする神経難病センター、東京都立神経病院に勤務。パーキンソン病に対する外科治療や水頭症、先天性疾患の治療に従事。

平成19年4月~ 東京大学医学部付属病院 脳神経外科に勤務

パーキンソン病などの不随意運動疾患に対する外科治療を神経内科との協力により開始。また、下垂体腫瘍や脳室内病変に対する神経内視鏡手術にも従事している。

コラム留学記: パリ医学留学の報告書から抜粋

パリの美しい夕暮れ
パリの美しい夕暮れ

私の留学するHenri Mondor病院

私が留学したのは、フランス、パリ郊外のクレテイユというところにある、パリ第12大学の大学病院、Henri Mondor病院です(フランス語ではHを発音しないので、アンリモンドールと読みます)。ここの脳神経外科では、年間約1200例の手術が行われ、フランス国内でも有数の機能的脳疾患に対する治療を行う病院です。特に定位脳手術の手法を用いた脳深部刺激療法や難治性疼痛に対する大脳皮質刺激療法に関しては、年間120例以上の患者が治療を受けています。パーキンソン病、ハンチントン舞踊病、ジストニアなどの難治性の疾患に対する外科的アプローチのみならず、新たな治療に対する臨床応用が積極的に行われています。

アンリモンドール病院
アンリモンドール病院

ここに、私は外国人インターンとして勤務しています(フランスでは、研修医は“interne:アンテルン”、医学生は“externe:エクステルン”と呼ばれます)。インターンとはいうものの、フランスでは全国で脳神経外科の認定医は400人程度しかおらず、どの病院も慢性的な外科医不足というのが現状です。このため、各自の国で専門医の資格を取り、経験を積んできた外国人インターンは、院内でも非常に重要な立場にあります。私の他にも、同じ身分の外国人インターンがイタリア、ブラジル、メキシコ、アルジェリア、ベニン、アルゼンチン、など様々な国から来ています。これら外国人インターンの立場は非常に流動的で、個人の技量や主任教授からの信頼度により、一人前の脳外科医として手術を任されたり、又は、研修医のように手術の助手ばかりさせられたりと様々です。こういったところは、フランスのシステムは外国から技術を学びに来ている医師に対し、寛大でもあり、また、厳しくもあります。

さて、この一年の留学で私が主に携わり、学ぶことのできたことは、大きく分けて以下の5つに集約されます。
1)Parkinson病や手の振えに対するdeep brain stimulation (DBS)
2)神経源性難治性疼痛に対する大脳皮質刺激術
3)末梢神経の神経縮小術やバクロフェンポンプ植え込み術など、難治性痙縮に対する治療
4)閉塞性水頭症と脳室内腫瘍に対する硬性鏡による内視鏡手術
5)Huntington病やParkinson病に対するfetal strial neuroblastの移植術

アンリモンドール病院スタッフと
Phillipe Decq教授と パリ大学の解剖学教室にて

これらのうち、1)と2)については、Jean-Paul Nguyen教授のもとでneuromodulationのチームに属し、手術及び臨床研究を行っています。3)と4)については、スタッフドクターのPhillipe Decq先生のチームに属し、硬性鏡を使っての内視鏡手術を担当させていただいています。5)については、Stephan Palfi医師が中心となって行っているfetal strial neuroblastを定位的に大脳の線条体に移植する治療です。これはサルを用いた動物実験による効果と安全性の確認の後、倫理委員会の承認を経て治療が開始されています。現在、5年が経過しており、今までの結果では、残念ながらParkinson病に対する効果は乏しく、治療プロジェクトは見直しが検討されていますが、Huntington病では運動機能や認知機能の著しい改善を認めています。

フランスでの脳外科医としての生活

働き始めた当初は、仕事は朝から晩まで教授やスタッフドクターの手術の助手ばかりでした。

院内では、当然ですが看護婦も、患者もみんなフランス語しか通じず、ドクターも6割は英語が通じないため、留学開始当初は、フランス語にかなり悪戦苦闘しました。その後、2-3ヶ月が経過した頃から、フランス語での生活に慣れてきて、気持ちにもややゆとりが出てきました。実際に多くの手術を術者として、経験させてもらうためには、やはり周りのドクターとの意見交換をし、実際に手術を担当させてもらうことで信頼関係を築かなければ!と考えました。このころには、語学力も充分になり(留学開始後、3ヶ月間はフランス語の夜学に毎日休まず通いましたが...)、やっと言いたい事がフルに伝えられるようになったため、「もっと、自己主張をしなければ!」と自らを言い聞かせて、積極的に自分の考えを示すようにしました。「私の日本での経験では、こういった患者は...」とか「こういう困難な患者でも、以前、こういう風に治療したら、うまくいく場合があった」などと、カンファレンス中や手術中にも、ずうずうしくも(?)意見を言うように心掛けました。

手術前に
手術室にて 左はPalfi教授

そうしたところ、「それは、いいかもしれない。じゃあ、発案者の君が実際に執刀するかい?」という感じで、あっさり術者をまかされるようになりました。こちらでは、とにかく手術件数が多く、一度、術者となるチャンスを与えられると、その後は失敗さえなければ、どんどん術者をまかされます。そのかわり、一度でもミスをして×がついたら、それ以降は術者をおろされるようです。私にとっては、多くの症例を経験し、最も興味を持っている脳外科の専門分野について、手術の腕を磨く、非常にいい機会をあたえられました。

各病院が専門をもち、患者の集中化が行われているフランスの大学病院では、日本の大学病院と同じぐらい(又はもっと少ない)人数のスタッフで、毎日、一日あたり5人−6人の患者を手術します。手術件数から言ったら、一人の術者が日本の3−4倍は手術を行わなければなりません。

多くの手術をこなすフランスの脳外科医は、さぞかし毎日遅くまで仕事をしているのではと思われるかもしれませんが、そんなことはないのです。フランスでは、かなり分業化がすすんでいます。術前、術直後の患者の管理は、基本的に脳外科専属の麻酔科医の仕事です。その後、患者が病棟に移っても、病棟業務専門の脳外科医が患者のことを診てくれます。外国人インターンの中でも、病棟業務担当を選択する人がいるくらいですから、これはフランスに限ったことではないようです。しかも、麻酔がかかった後に患者の体位を整える技師さんとかまでいるので、朝、手術室に到着して、コーヒーをのんでくつろいでいると、手術ができる状態になって「ドクター、15号室へどうぞ」とインターホンでよばれます。一例目の患者の手術が終了したとたん、直ちに次の手術室へ移ります。麻酔科医が二例目の患者の麻酔をかけて、手術室で待機していますから、病気の状態と手術内容、手術側(右か左か)を即時にスタッフと共に確認し、次の手術を開始します。しかも、手術が終わったら直ちに帰宅。一日のスケジュールが夕方の5時までに終了するようにびっしりと組まれています。しかし、5時を過ぎると、当直医を除き、手術室と病棟には医師の姿は見かけません。

同僚と一緒に
手術室にて ナースとともに

さらに、フランスでは全ての労働者に年間5週間以上の有給休暇をとる権利が保障されているため、中には一ヶ月近く夏休みをとって旅行にでかけるドクターもいます。私も妻とともに、フランス国内のみならず、ヨーロッパをあちこち旅行しました。経済研究所の報告によると、フランス人は、アメリカ人と比べ労働時間が少なく、労働者の賃金もその分低いとのことですが、労働による生産性では劣っておらず、「効率重視」のシステムと言えるとのことです。

フランス医学留学はお勧めか?

フランス留学のいいところ、それは日本の医師免許でも、実力を認めてもらえれば、多くの手術を術者として経験させてもらうことができること。しかも、家族と過ごす時間や休暇を充分に与えられて、脳外科医であっても、ゆったりと生活を満喫することができます。簡単にフランス国内や、近隣諸国に足を伸ばすことができ、ヨーロッパの歴史と文化、さらに日本では想像もしなかった大自然の中に身をおくことが容易に可能です。

しかしながら、やはり最大の問題点は、言葉の違いを始めとした“生活習慣の相違”でしょう。こちらの人は、日本人の目から見ると、まあ、良く言えば“寛容でのんびりしている”。病院での手術やその他のスケジュールにしても、物事が時間通りに運ぶことはなかなかなく、患者に麻酔がかかった後でも医師の昼食が終わるまで手術の開始が遅れるなどということもあります。私が上司から信頼された大きな理由の一つに、「手術の予定時間に遅れずに手術室に現れるから」ということがあります。日本では、当たり前のことですが、ヨーロッパの基準で言うと、“美徳”ということになるようです。

手術中の筆者
手術室にて ステレオの手術中

また、フランス人は、自らの感情を率直に表に出す人が多いので、相手がたまたま機嫌が悪かったりすると、それだけで物事がうまく運ばなかったりします。逆にこちら側も、自らの意見を主張していかないと、チャンスが与えられないので、常に自己主張していくことが必要です(日本人にとっては、かなり疲れるところもありますが)。これから、留学を考えている方に対して助言するとすれば、フランス滞在を楽しむ鍵は、いやな事は“non”、やりたいことには“oui !!”とはっきり主張しつつ、細かいことを気にせず、のんびり過ごすことでしょうか。

医療の質を向上させる上で、最も重要なこととは、医療チームのリーダーである、医師自体が気持ちにゆとりを持って、治療にあたることではないでしょうか。フランスの医療から、私が学んだ最も大切な事は、研究成果や手術の技術、医療制度の違い以上に、心にゆとりを持って、常に平常心で仕事に携わる事の大切さかもしれません。

技術先進国でありながら、未だ多くの問題をかかえる日本の医療を向上させる鍵も、案外、こんなところに隠されているのではないでしょうか。

以上、私の留学体験について、ご報告させていただきました。今後、Henri Mondor病院での仕事を継続しつつ、フランス政府の原子力関連施設の医学研究部門にて研究にも従事することとなり、Parkinson病に対するgene therapyの臨床応用に向けての研究に携わることとなりました。 最近、日本の“本物”の寿司とラーメン、それから焼肉が恋しくなりだした頃ではありますが、もうしばらくはこちらでの脳神経外科医としての生活を満喫しようかと考えております。』

  • 辛正廣プロフィール
  • 資格など
  • 医学博士
    日本脳神経外科学会専門医
    日本神経内視鏡学会技術認定医

    仏国 パリ大学認定
    不随意運動疾患専門医
    機能的脳神経外科専門医

  • 所属学会
  • 日本脳神経外科学会
    日本脳神経外科学会コングレス
    日本定位機能脳神経外科学会
    日本定位放射線治療学会
    日本間脳下垂体腫瘍学会
    日本神経内視鏡学会
    日本脊髄外科学会
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