はじめに
脳には様々な血管がいくつも枝分かれしており、それぞれが重要な機能を持っています。今回は、非常に細いものの重要な血管である前脈絡叢動脈について説明していきます。
脳血管の基本的な解剖については、こちらをご覧ください。
前脈絡叢動脈について
前脈絡叢動脈は頭の前後のうち前側の血管である内頚動脈から枝分かれする細い動脈です。英語では、anterior choroidal arteryと呼ばれ、略して、ACho、アンコロなどと略されることがあります。
IC-AChやIC-AChoというのは、内頚動脈と前脈絡叢動脈の分岐部にできる脳動脈瘤をあらわしています。前後をつなぐ後交通動脈より約3mm脳側すぐの部分から分岐し、血管の太さは1mmと非常に細いため、この近くに病変がある場合には、治療の際に注意する必要があります。
この血管は視索、内包後脚、外側膝状体を栄養しており、もし閉塞してしまうと、片麻痺(手足が動かない)、感覚障害、半盲(左右の目ともに同じ側が見えない)という3つの症状が出ることがあるほか、もの忘れ、意識障害などが起きることもあります。3つの症状がすべて出るものは非常に稀です。また、この血管を閉塞させても、60-70%では症状が出なかったという報告もあります。これは、手足を動かす神経が通る部分では、前脈絡叢動脈以外のさまざまな動脈からネットワークが形成されているため、ほかの血管から血流を受けることができるです。
このような場合には、たとえ重要な血管が閉じてしまったとしても、症状が出ないことがあります。
noteにも掲載しています。
https://note.com/nouproblem/n/n8b5fdfd2dfcb?sub_rt=share_pb
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