家族性高コレステロール血症とは、うまれつき、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの血中濃度が高くなり、その結果、さまざまな全身性合併症を引き起こす病気です。血液の中にある、LDLは受容体を介して、肝臓の中に取り込まれるのですが、この受容体に関連のある遺伝子に何らかの変異があることで機能せず、血液の中のLDLがうまく回収されないため、血中のLDL濃度が高くなってしまいます。LDLは全身の血管に動脈硬化を引き起こします。特に心臓に動脈硬化が起きた場合では、心筋梗塞や狭心症を若い時から発症することがあります。
家族性高コレステロール血症が疑われるケースは?
以下のような場合、家族性高コレステロール血症の可能性があります。
- 治療前のLDLコレステロールが180mg/dL以上
- 皮膚やアキレス腱に黄色腫がある
- 血のつながった家族で以下に当てはまる人がいる
- LDLコレステロールが180mg/dL以上
- 若年で狭心症、心筋梗塞などと診断されている(男性は55歳以下、女性は65歳以下)
もしこのようなケースに当てはまる場合には、かかりつけ医に相談してみてください。
家族性高コレステロール血症は遺伝するか?
この病気は遺伝する可能性があります。家族性高コレステロール血症は、LDL受容体に関連した遺伝子に変異が生じることにより発症します。それぞれの遺伝子は、父由来、母由来の1対で構成されています。両方の遺伝子に変異がある場合、ホモ接合体、片方だけに変異がある場合には、ヘテロ接合体と呼ばれます。ホモ接合体の方は、ヘテロ接合体の方に比べて重症化しやすい傾向にあります。両親の片方がヘテロ接合体の場合には、約1/2の確率で、ヘテロ接合体の子供が生まれます。
家族性高コレステロール血症の治療は?
食生活を含む生活習慣に気をつけることが第一です。低脂肪、低コレステロール食をなるべく摂り、禁煙、有酸素運動を心がけましょう。さらに、脂質降下薬により治療もほぼ必須となります。スタチンをはじめとする飲み薬をはじめ、治療効果を見ながら薬剤を増量していきます。PCSK阻害薬という点滴薬を用いることもあります。生活習慣の改善と薬物療法による治療だけでは効果が乏しい場合には、透析同様に血液からLDLを直接除去する治療(LDLアフェレシス)を行います。2週間に1回程度実施し、基本的に生涯継続することになります。なるべく早期に治療を始めることで、動脈硬化の進行を遅らせることが可能になります。
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