はじめに
脳卒中は、患者さんの機能的予後が分単位で悪くなる病気ですので、迅速な診断と治療が求められます。日本脳卒中学会は、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、tPA静注療法を含む速やかな治療が実施できる施設として、一次脳卒中センター(Primary Stroke Center: PSC)を認定しています。米国では2003年から一次脳卒中センターの認定が開始されており、さらに、「血栓回収脳卒中センター」「包括的脳卒中センター」などより高度な治療に対応できる医療機関の認定も行っています。日本では現状、一次脳卒中センターのみの認定となっていますが、今後、「血栓回収脳卒中センター」「包括的脳卒中センター」などの施設認定も行われる予定です。
一次脳卒中センターの認定要件とは?
以下の8項目が日本脳卒中学会により定められています。
1. 地域の医療機関や救急隊からの要請に対して、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者搬入後可及的速やかに診療(t-PA静注療法を含む)を開始できる
2. 頭部CTまたはMRI検査、一般血液検査と凝固学的検査、心電図検査が施行可能である
3. 脳卒中ユニットを有する
4. 脳卒中診療に従事する医師が24時間/7日体制で勤務している
5. 脳卒中専門医1名以上の常勤医がいる
6. 脳神経外科的処置が必要な場合、迅速に脳神経外科医が対応できる体制がある
7. 機械的血栓回収療法が実施出来ることが望ましい。実施できない場合には、血栓回収脳卒中センターや包括的脳卒中センターとの間で、機械的血栓回収療法の適応となる患者の緊急転送に関する手順書を有する
8. 定期的な臨床指標取得による脳卒中医療の質をコントロールする
一次脳卒中センターはどこにある?
各都道府県に一次脳卒中センターが配置されており、その一覧は日本脳卒中学会のHPで確認できます(https://www.jsts.gr.jp/facility/psc/index.html)。ご自身がお住まいの都道府県の医療機関のうち、どこの施設でtPAを含む積極的な治療が受けることができるか確認することができます。脳梗塞の急性期治療において、tPAは非常に重要な役割を担っています。さらにtPAと両輪を構成する血栓回収療法が実施できる医療機関は更に限られており、今後より高度な施設認定が行われることになるでしょう。
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