失語症と構音障害の違いは?
言語障害(ことばの障害)は大きく分けて、失語症と構音障害があります。
大脳にある言語領域が障害されたために会話のキャッチボールが成立しない状態を「失語症」、脳の運動中枢が障害され、会話の内容は正確だが、言葉の音を作る器官に問題が生じ、発音や発声がうまくできない状態を「構音障害」と呼びます。
つまり、言語中枢が働かなくなることで生じるものが失語症で、運動中枢が働かなくなることで生じるものが構音障害です
失語症の原因と症状
失語症は、大脳の言語中枢の損傷により生じるもので、言語中枢が損傷される原因の多くが脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中です。その他にも髄膜腫、神経膠腫などの腫瘍によっても起こり得ます。
失語症になることでさまざまな機能が失われてしまいます。その結果、物品の名前が答えられない、文字による言葉の理解や表出ができない、音読と書き取りができない、復唱ができない、などの症状があらわれます。
より具体的には
・ 相手の話を理解できない
・ 自分が言おうとしても言葉が出てこない
・ 言いたい言葉を間違える、話したい言葉を上手く発音できない
・ 文字や文が読めない、書いてある文字や文の意味が分からない
などです。
失語症の種類
失語症にはさまざまな種類があります。
・ブローカ失語(運動性失語)
・ウェルニッケ失語(感覚性失語)
・伝導失語
・全失語
・失名詞失語(健忘失語)
などです。比較的多いタイプの失語症について説明していきます。
ブローカ失語(運動性失語)
脳の比較的前の部分(下前頭回後半~後部1/3の皮質)に障害が起きた場合に現れます。このタイプでは、言葉は理解できるにもかかわらず、文の構造をうまく組み立てられず、単語や短文でしか言葉が出てこなくなってしまいます。音の一部を間違えてしまう音韻性錯語(「とけい」→「トテイ」など)も多いです。
ウェルニッケ失語(感覚性失語)
運動性失語とは反対に、脳の比較的後ろの部分(上側頭回後半~後部1/3の皮質)に障害が起きると、言語や話を聞いて理解する能力に障害が強く見られます。なめらかに話せるものの、言い間違いが多く、聞いて理解することも困難なタイプの失語症です。話をする量は多いですが、喚語困難は顕著で、他の音に置換する「音韻性錯語」、言いたい単語が別の単語に置き変わってしまう「意味性錯語」が多く見られます。
全失語
さらに、「聞く・話す・読む・書く」のすべての言語機能に重度の障害が起きた「全失語」などもあります。
ですので、理解が難しい言葉や発声になり、コミュニケーションをとることが難しいです。
失語症のリハビリ
言語障害の主な治療は、言語聴覚士(ST)によるリハビリテーションです。
リハビリは、急性期・回復期・維持期の3段階に分けることができ、早い段階からケアすることで回復率が高まります。脳卒中のリハビリについてはこちらも参考にしてください。
脳血管疾患が原因で生じる失語症の場合、約12ヶ月で40%は改善すると言われており、軽症であれば発病後2週間、重症であれば10週間が最も回復率が高いとされています。この期間にリハビリ効果を最大限に引き出すことが重要です。
また、症状の出方や重症度には個人差が大きく、個々に合わせたリハビリテーションのプログラムが必要となります。
ですから各段階・個人に合ったリハビリ方法行うことで効果を最大化できるので、専門家から適切な指導を受けるとよいでしょう。機能を十分に活用し、実用的なコミュニケーションの方法が確立できるように訓練を行っていきます。
noteにも掲載しています。
⇒https://note.com/nouproblem/n/n587e87d963da
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