シャントとは
水頭症とは脳を守る水がうまく吸収されないことで、脳のお部屋(脳室)にたまる病気です。
水がたまることで、ぼーっとしたり、歩けなくなったりと日常生活において弊害があります。シャント手術とは、吸収しきれない水をお腹の中に流してあげることを目的にした手術で、シャントという管を皮膚の下に埋め込みます。手術の方法により、V-PシャントとL-Pシャントがあります。
シャントの構造
基本的には細いシリコンチューブですが、シリコンチューブの途中に流れる量を調整する圧の調整器(バルブ)があります。
V-Pシャント(脳室腹腔短絡術)とは?
脳のお部屋に直接チューブを挿入し、そのチューブを鎖骨、胸、お腹へと通します。
手術の流れ
1. 頭の皮膚を数センチ切り、ドリルで穴をあけ、チューブを留置します(穿頭といいます)。
2. 金属の棒をお腹に向かって、皮膚の下を通し、それに沿って、シリコンチューブをお腹まで誘導します。途中耳の後ろや鎖骨の上に中継の皮膚切開を置くことがあります。
3. お腹を数センチ開け、腹膜を切り、腹腔に先ほどのチューブの先端を20-30cmほど入れます。
4. 全てのキズを閉じて終了です。
L-Pシャント(腰椎腹腔短絡術)とは?
脳室のお水は背骨の中までつながっていますので、腰からお水を抜けるように、腰の真ん中から、横をぐるりと回って、お腹にチューブを通します。
手術の流れ
1. 腰の真ん中もしくは少しずれたところから、お水の通り道に向かって太い針を刺し、針の中にチューブを通します(針は抜いてしまいます)。
2. 金属の棒をお腹に向かって、皮膚の下を通し、それに沿って、シリコンチューブをお腹まで誘導します。途中、腰の上あたりに中継の皮膚切開を置くことがあります。
3. お腹を数センチ開け、腹膜を切り、腹腔に先ほどのチューブの先端を20-30cmほど入れます。
4. 全てのキズを閉じて終了です。
手術のリスク
手術自体は1時間程度で終わります。合併症は、以下のようなものがあります。
感染症:シャントシステムや傷に感染を起こす
脳出血:V-Pシャントの場合、脳を針で刺すときに出血する
気胸:金属棒を頭からお腹に通すときに肺に刺さる
脳室チューブの位置不良:正しい位置(側脳室)に管が置けない
このような合併症が予測されます。
手術後の経過
手術後の抜糸は1週間程度で行われます。水頭症自体、リハビリが必要になることが多い病気であり、退院時期はまちまちです。シャントシステムは体にとって異物であり、少し時間がたっても、様々なトラブルを起こすことがあります。先ほども述べたものに含まれますが、1つ目はシャントの感染です。特に免疫力が低下している方では、シャントにばい菌が付着し、高熱と痛みが出現することがあります。2つ目はシャントの詰まりや断裂です。シャントは細い管ですので、下水と同じように詰まってしまうことがあります。また、体の動きなどにより、チューブが途中で切れてしまうことがあります。このようなトラブルが起きてしまった場合には、いったん管を抜き、新しいものに入れ替えなければなりません。
noteにも掲載しています。
⇒https://note.com/nouproblem/n/n4d0a7271e525
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