頭の代表的な放射線学的検査は、CTとMRIに大別されます。頭部CTは、短時間で撮影でき、脳出血や外傷性頭蓋内出血の判別に有用です。頭部MRIは、撮像の時間がかかる分、より多種類かつ高精細な画像を得ることができ、脳梗塞の急性期の判別に非常に有用です。今回は、頭部MRIの撮像方法とその意義について解説していきます。
1. 拡散強調画像(DWI、ディフュージョン)
「ディフュージョン」と呼ばれる撮像方法で、脳内の水素原子の動きを観察します。骨が写らない撮像方法です。まだ発症して間もない脳梗塞の診断にとても有用で、6時間以内の脳梗塞であれば、90%以上の確率で診断できます。脳梗塞の部分は白くうつり、高信号域(High intensity area; HIA)と呼ばれます。他には、脳膿瘍の場合も白くうつります。
2. T1強調画像(ティーワン)
MRIの基本画像で、CTと最もよく似た撮像方法です。水は黒く、脂肪は白く写ってきます。T1で高信号になる構造物はそれほど多くなく、脂肪組織のほかに、亜急性期の出血、メラニン色素、高蛋白の液体などがあげられます。
3. T2強調画像(ティーツー)
水分が白く写る撮像方法です。多くの病変でも白く写るため、病変や脳浮腫の検索に有用です。
4. FLAIR画像(Fluid Attenuated Inversion Recovery, フレア)
T2強調画像と異なり、水分が黒く写ります。髄液が黒く写るので、特に脳室周囲の病変や壊死・脱落を伴った病巣を診断する際に、T2強調画像よりわかりやすいという特徴があります。
5. MRA (Magnetic Resonance Angiography)
脳の血管構造を可視化し、動脈瘤や血管狭窄などの血管異常を評価します。CTAとは異なり被ばくや造影剤のしようがないため、より低侵襲な検査といえます。一方で、検査時間はCTAより長い傾向にあり、安静を保てない患者に実施するのは難しいです。
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