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血液をサラサラにする薬~抗血小板薬と抗凝固薬の違い~

治療法

はじめに

ケガをして出血しても、しばらくすると自然に血が止まる経験は皆さんもあると思います。血液の中には、血を固めるための成分が10種類以上含まれており、血管が破れた時にそれらが次々に反応して血を固めてくれるのです。通常はそれぞれの成分が混ざり合うことがないため、血管の中で血が固まることはありません。しかし、様々な異常が起きることで、血管の中にも血栓ができてしまうことがあります。血栓ができる病気は、脳や心臓、肺などさまざまな臓器に障害を引き起こします。

血栓ができる仕組み

1. 血管の異常

血管の中で血液が固まらないようにするための機能を持つ細胞が血管の最も内側にある「血管内皮細胞」です。この細胞が動脈硬化などで傷ついてしまうと、傷ついた部分からコレステロールが流れ込み、プラークという塊を形成します。このプラークが破れる時に、血液が一気にかたまり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。このような血栓を白色血栓と呼びます。

2. 血流の異常

血液の流れが遅くなることで、血の赤い成分である赤血球同士が固まり、血栓を作ることがあります。例えば、不整脈により、心臓の中で血液がよどんでしまうと、そこに血栓ができます。その血栓が脳の血管に飛んでいくことで、脳梗塞心原性脳塞栓症)を起こします。また、長時間同じ姿勢で座る・寝転がることで、足から心臓に向かう血液の流れが悪くなり、足の静脈に血栓ができます。この血栓が肺に飛んでいくと、肺塞栓症を起こします。このような血液の流れが悪くて起きる血栓を赤色血栓と呼びます。

血栓を防ぐお薬とは?

血栓疾患は心臓病や脳卒中などの循環器疾患のリスクとなっています。これらの疾患を予防するために、血をサラサラにする薬を内服します。血をサラサラにするお薬は大きく分けて、抗血小板薬抗凝固薬という2つのグループに分けられます。それぞれの薬の特徴と適応となる病気、代表的な薬剤について、詳しく説明します。

1. 抗血小板薬

抗血小板薬は、血液の中にある血小板が集まるのを抑えることで、血栓を予防します。血小板とは血を固めるのに大切な役割を果たしますが、時には体内で不要な血栓を作ることがあります。抗血小板薬は、血管内での血小板の凝集を防ぐことによって、心筋梗塞や脳卒中などの血栓疾患のリスクを低減します。

適応となる病気:脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症

代表的なお薬:アスピリン(バイアスピリン)、クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)。

2. 抗凝固薬

抗凝固薬は、血液の中にある凝固因子を阻害することで、血栓の形成を防ぎます。血液凝固因子は10種類以上あり、出血を止めるために重要ですが、過剰な作用により血栓を引き起こす原因となります。抗凝固薬は、既にある血栓の成長を防ぎ、新しい血栓が作られるのを抑制します。抗凝固薬には長年使用されてきたワルファリンというお薬と、DOACという新規抗凝固薬があります。ワルファリンは、ビタミンKを阻害することで、血が固まるのを抑制します。薬価が安く効果が確立していますが、量の調整が難しく、他の薬や食事との相互作用に注意が必要です。特に、納豆、クロレラの摂取は禁止されています。ほかにビタミンKが多く含まれる、パセリ、キャベツ、ほうれん草は注意が必要です。薬がどの程度効いているかチェックするため、定期的に採血をする必要があります。DOACは、ビタミンKに依存しない形で血が固まるのを抑制します。ワルファリンのような用量調整が不要で、安定した血栓予防効果が期待できます。

適応となる病気:肺塞栓、 深部静脈血栓、心房細動

代表的な抗凝固薬:ワルファリン(ワーファリン)、アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、ダビガトラン(プラザキサ)

まとめ

血液をサラサラにする薬は大きく分けて2種類あり、それぞれの作用や対象疾患は大きく異なります。ですので、ご自身やご家族が飲まれている薬が、どの分類に該当するのか知っておくことが大切です。血液をサラサラにする薬は、血栓に関連する病気を防ぐ一方で出血リスクを増加させます青あざが増える、鼻血が止まらない、便に血が混じっているなどの症状がある場合には、医師・薬剤師にすぐに相談しましょう。また、歯の処置や内視鏡検査などの際には、中止する必要がある場合もありますので、処置や検査を受ける病院で必ずお伝えください。

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