はじめに
今回は医療従事者向けに、頭部外傷や広範囲脳梗塞に対して行われる減圧開頭術について
お話しします。
頭蓋骨は脳を保護するための「箱」のようなもので、外的な衝撃から守る役割があります
。一方で、頭蓋骨の中の体積は一定であり、脳出血や脳浮腫(脳のむくみ)などによって
「箱」の中身の容量が増えてしまうと、頭の圧が上がり、結果的に正常な脳が押しつぶさ
れダメージを受けてしまうのです。ですから、頭の中の圧力を適切に管理することは非常
に重要なのです。
外減圧とは?
外減圧とは、取り外した骨を戻さずに外したままにしてくる手術です。頭の中に新しくで
きた血のかたまりは、取り除けばよいのですが、圧迫されていた脳はダメージを受けると
水を含んで膨張します。膨張した脳は取り除くことができないため、骨を戻さずに膨らん
だ脳を「逃がす」スペースを作ってあげます。そうすることで、脳にかかる「圧力」を「
減らす」ことができます。これを外減圧といいます。外減圧の後には、頭皮や側頭筋の下
にすぐ脳がありますので、骨がない部分に圧がかからないようにしなければなりません。
ですから、手術後は体位変換の際に注意が必要です。また、離床が進んだ場合にはヘルメ
ットをかぶってもらうこともあります。通常、脳のむくみは2~4週間程度で改善してきま
すので、外した骨を戻す手術(頭蓋形成術)を1~2か月後くらいに行います。戻す骨は、
外した骨をそのまま使う場合と、人工物で新しく作り直す場合があります。
内減圧とは?
内減圧とは、損傷した脳やむくんだ脳自体を取り除く手術です。頭の骨を大きく外し、脳
が逃げるスペースを作っても、むくみが強すぎる場合には、減圧効果に限界があります。
このような場合には、特に損傷している部分や、時には水を含んでむくんだ脳の一部を取
り除くという方法で、頭の中の圧を減らしてあげます。機能があまり多くないとされてい
る側頭葉の前方などを中心に脳を取り除くことがあります。そうすることで、脳ヘルニア
になるのを防ぐのです。しかし、ただむくんでいるだけで、少なからず機能が残っている
脳ですから、治療の後に言語理解や判断力の低下、聴力障害などさまざまな合併症を起こ
すことがあります。ですので、機能が残っている部分の脳を取り除くのは、最終手段だと
考えてください。
noteにも掲載しています
⇒https://note.com/nouproblem/n/nfd54206a39af
コメント