血栓回収術とは?
血栓回収術とは、血管内治療の1つで、比較的大きい血のかたまり(血栓)が頭の大きな血管に詰まった場合に、カテーテルを用いて血栓を物理的に引っ張ってくる方法です。
血栓回収術の有効性は?
以前はその有効性が疑問視されていましたが、2015年ごろから少しずつエビデンス(その治療が有効であるという証拠)が発表されており、直近の脳卒中ガイドライン(脳卒中に対する標準的な治療方針)で最も推奨度の高いGrade A(=行うよう強く勧められる、行うべきである)に分類されています。
血栓回収術の流れ
1. 足の付け根(もしくは腕の血管)にシース(カテーテルを血管に通すための太い管)を留置する。
2. 入れ子構造になっているいくつかのカテーテルを用いて首の血管を通り、一番細いカテーテル(水色)を血栓の奥までもっていく。
3. 一番細いカテーテル(水色)に沿って、ステント(血栓をかき出す金網)を血栓近くまでもっていく。
4. ステントを展開し、からめとった血栓を回収する。
5. 最初に入れたシースを抜く。
血栓回収術の合併症のリスク
主に以下のような合併症が考えられます。
1. 脳出血:ステントで物理的に引っ張ってくることで、細い血管に傷がつき、出血することがあります。出血が多い場合には開頭術が必要なこともあります。
2. 脳梗塞:血栓を引っ張ってくる途中で、別の血管に血栓が飛んで行ってしまうことがあります。その場合には治療前にはなかった部分に新しく脳梗塞ができることがあります。
3. 再閉塞:特に動脈硬化が強い場合などは、一度開通してもまた詰まってしまうことがあります。
4. 足の付け根の腫れ:一番初めに足の付け根(もしくは腕)に針を刺しますが、その際に血液が漏れて、お腹の中の出血(後腹膜出血)や皮下出血を起こすことがあります。
5. 造影剤アレルギー:まれですが、造影剤にアレルギー反応を起こすことがあります。
まとめ
脳梗塞に対する血栓回収術は、適応があれば今や「やらなければならない」治療となりました。日本脳神経血管内治療学会は、血栓回収術を行う基準として、認定資格(脳血栓回収実施医、脳血管内治療専門医)を設けています。このような資格をもつ先生がいる施設で、安全確実な治療を受けてください。
noteにも掲載しています。
⇒https://note.com/nouproblem/n/n2cacb0c5abf8
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