脳の神経細胞が壊れていくことで発症する認知症にも様々な種類があります。今回は主に、アルツハイマー型認知症に加えて、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症についても簡単に解説していきます。
アルツハイマー型認知症
認知症全体の2/3を占めており、最も頻度が高い認知症です。アミロイドβなどの異常なたんぱく質が脳にたまることで、神経細胞が障害され、脳がどんどん萎縮していきます。とくに記憶をつかさどる海馬のあたりが最も萎縮が進みやすいです。海馬の周りの萎縮の程度を調べる検査に、VSRADというものがあります。VSRADはMRIの1つで、放射線を浴びずに検査可能です。症状は記憶や判断力の低下、見当識の障害(日付や場所が分からない)などがあげられます。アルツハイマー型認知症は、年単位でゆるやかに進行する病気ですので、診断された日から、日常生活が全くできなくなるわけではありません。
血管性認知症
認知症全体の10%程度で、脳卒中が原因で発症します。特に、頭の血管が詰まる脳梗塞、血管が破れる脳出血などが原因となります。症状は、脳卒中が起きた脳の場所によって異なります。もの忘れはそれほど顕著ではなく、判断能力の低下も比較的保たれます。一方で、脳卒中をおこした後、急速に発症し、症状は階段状に進行していきます。動脈硬化の原因となる、高血圧、糖尿病、脂質異常症や心房細動などの不整脈を適切に管理することで発症を防ぐことができます。
レビー小体型認知症
認知症全体の5%と比較的少ないですが、脳の神経細胞にレビー小体という異常なたんぱく質がたまることで発症します。症状が時間帯によって変動することが特徴で、調子が良い時間帯と悪い時間帯を繰り返しながら徐々に進行していきます。症状は表情が乏しい、手足が震える、動作が緩慢であるといったパーキンソン病にみられるものと類似していることが多いです。ほかには、幻視(実際にないものが見える)なども症状の特徴の一つです。MRI検査では脳の萎縮がはっきりしないことが多いです。
前頭側頭型認知症
若年性認知症では3番目に多いと言われている認知症です。脳の特に前頭葉と側頭葉の神経細胞が障害されます。ほかの認知症と比較して、より若い年齢で発症することが多く、70歳未満でほとんどの方が発症します。周りへの配慮ができず、自分の決めた通り行動する、こだわりが強い、決まった時間に同じことをするといった症状があらわれます。もの忘れは比較的軽度であり、性格変化や行動異常が最大の特徴です。
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